美容師になるためには、2年間の専門学校を経て、就職後も数年の下積みを積んでやっとスタイリストとしてデビューできます。そのキャリアを手放す決断は、簡単にできるものではありません。
筆者も働いていたサロンの突然の閉店をきっかけに、美容師から異業種への転職を経験しました。転職を決意した後に最初にぶつかった壁は「まず何をすればいいのかわからない」という状態でした。
この記事では、美容師が異業種転職を始める際にまず整理すべき3つのことと、忙しい美容師が転職準備の時間をどう確保するかについて、筆者の体験をもとに解説します。
→ 後編はこちら:美容師から異業種転職で大変だった事②
美容師が転職活動に使える時間は少ない
美容師の働き方は、他の業種と比べて転職準備に使える時間が非常に限られています。
- 平日・土日問わず繁忙期がある
- 勤務時間が長く(10〜22時など)、帰宅後は体力的に余裕がない
- 休日が月6〜8日程度と少ない
異業種への転職は初めての経験で、何をすべきかわからない状態からスタートします。「転職したい」と思いながらも、準備の仕方がわからず時間だけが過ぎてしまう方も多いのではないでしょうか。
そこで大切なのが、最初に必要なことを整理して、やることを絞り込むことです。
転職前に整理すべき3つのこと
筆者が転職時に整理した内容は、以下の3つです。これを明確にするだけで、次にすべきことが自然と見えてきます。
- いつまでに転職するのか
- どんな仕事をしたいのか・何の仕事ができるのか
- どうやって転職するか・何が必要か
① いつまでに転職するのか
まず「転職期限」を決めることが、時間を有効に使うための第一歩です。
締め切りがない状態では、どうしても後回しにしてしまいがちです。「○月までに転職する」と期限を設けることで、限られた時間の中でも集中して動けるようになります。
これは美容師なら自然と感覚として持っているはずです。施術時間内にカットやカラーを仕上げるあの集中力と同じです。時間を区切ることで、パフォーマンスが上がるという経験は、転職活動でもそのまま活きます。
期限の目安としては、3〜6ヶ月程度を設定するのが現実的です。短すぎると準備不足になり、長すぎると集中力が維持しにくくなります。
② どんな仕事をしたいのか・何の仕事ができるのか
美容師以外の仕事をほとんど経験したことがない方にとって、「どんな仕事があるのかわからない」という状態からのスタートになります。
日本の法人企業数は約178万社(令和3年時点)。その全求人を一つひとつ見て回る余裕はありません。まずは以下の観点で自分の方向性を絞ることが重要です。
興味のある業界・仕事を考える
- 接客が得意 → 営業・販売・サービス業
- コツコツ作業が得意 → 事務・経理・データ入力
- PCや技術に興味がある → IT・エンジニア系
美容師としての強みを整理する 美容師が異業種転職で活かせるスキルは意外と多くあります。
- 接客・コミュニケーション力:お客様との会話で培ったヒアリング力・提案力
- 時間管理能力:複数の施術を同時進行でこなすマルチタスク力
- 継続力・忍耐力:長い下積み期間を乗り越えてきた経験
- 手先の器用さ・細部への注意力:精密な作業が求められる職種にも応用できる
これらを言語化しておくことで、履歴書・職務経歴書の作成や面接での自己PRに活用できます。「美容師の経験しかない」と思い込まず、強みを積極的に整理してみてください。
③ どうやって転職するか・何が必要か
転職方法には主に以下の3つがあります。
転職サイト(自己応募) 求人数が多く、自分のペースで活動できます。ただし、書類作成・面接対策・求人選びをすべて自分で行う必要があるため、時間と知識が必要です。
転職エージェント(無料) 筆者が最もおすすめするのはこの方法です。特に美容師からの異業種転職では、職務経歴書の書き方・業界知識・面接対策など、初めてだとわからないことをサポートしてもらえます。求人紹介から内定まで一貫して伴走してくれるため、限られた時間の中でも効率よく転職活動を進められます。
ただし担当者によって質に差があるのも事実です。「紹介される求人が自分の希望と合わない」「連絡が雑」と感じたら、遠慮なく担当変更や別のエージェントへの乗り換えを検討してください。
知人・SNS経由の紹介(リファラル) 信頼できる人からの紹介は、入社後のミスマッチが起きにくいメリットがあります。ただし選択肢が限られるため、メインの手段というよりは補助的に活用するのが現実的です。
転職準備の時間を作るコツ
忙しい美容師が転職準備の時間を確保するために、筆者が実践していた方法です。
① 通勤・移動時間を活用する 電車・バス通勤の場合、往復の時間をスマホでの求人チェックや業界リサーチに充てるだけで、1日30分〜1時間の学習時間が確保できます。
② 昼休みの15分を情報収集に使う ランチ後の15分だけでも、転職サイトのチェックやエージェントとのメッセージのやり取りができます。短くても毎日続けることで、情報量は着実に積み上がっていきます。
③ 「まとまった時間」を待たない 「休日にまとめてやろう」と思っていると、結局できないまま時間が過ぎてしまいます。5分・10分の隙間時間を積み重ねる意識が、多忙な美容師の転職活動には特に有効です。
まとめ
美容師からの異業種転職で最初にすべきことは、以下の3つの整理です。
- いつまでに転職するか(期限を決めて逆算する)
- どんな仕事がしたいか・何が強みか(美容師スキルを言語化する)
- どうやって転職するか(エージェント活用がおすすめ)
「何から始めればいいかわからない」という状態でも、この3つを順番に整理していけば、自然と次にやることが見えてきます。同じような境遇の方のお役に立てれば嬉しいです。
次回は美容師が異業種転職で活かせる強みについてご紹介します。 → 美容師から異業種転職で大変だった事②


